前回、「PLだけでは会社の半分しか見えていない」
という話をしました。
そして最後に、BSで注目すべき数字は
3つだけだとお伝えしました。
① 現預金
② 借入金
③ 純資産
今回は、この3つをどう使うかの話です。
【決算書を見た瞬間に、一次診断ができる】
BSには、数十行の勘定科目が並んでいます。
全部読もうとすると、それだけで面談が終わります。
でも、現預金・借入金・純資産。
この3つの比率を見るだけで、
会社がどんな財務状態にあるかを、
その場で言い当てることができます。
やり方はこうです。
まず、総資産(=負債+純資産)を出す。
次に、総資産に対する3つの比率を計算する。
たとえば総資産1億円の会社で、
現預金500万円、借入金8,000万円、純資産500万円なら、
現預金5%、借入金80%、純資産5%。
この3つの数字の組み合わせで、
会社の居場所が決まります。
【会社は、8つのどこかにいる】
私は会社の財務状態を、8つに分類しています。
① 完全無借金(理想型)
② 実質無借金(優良型)
③ 実質無借金(バランス型)
④ 資金枯渇型(完全無借金)
⑤ 資金枯渇型(低借入)
⑥ 借入依存型(資金潤沢)
⑦ 借入依存型(資金不足)
⑧ 債務超過状態
先ほどの「現預金5%・借入金80%・純資産5%」の会社は、
⑦の借入依存型(資金不足)です。
借入に依存しながら、手元の現金も足りていない。
かなり危険な状態です。
ここで大事なのは、順位をつけることではありません。
今どこにいて、次にどこを目指すのかを
社長と共有することです。
【多くの社長が目指すべきは「③」】
①の完全無借金が理想ではありますが、
中小企業の現実的な目標は③です。
借入金と現預金と純資産がバランスよく保たれ、
手元の現預金が借入金を上回っている状態。
いわゆる「実質無借金」のスタート地点です。
意外に思われるかもしれませんが、
④や⑤のように無借金・低借入でも、
手元に現金がない会社は危ない。
この場合、私はむしろ
「借りて、現預金を厚くしましょう」
とお伝えします。
無借金であることが善なのではなく、
いざというときに払えることが善だからです。
この話をすると、社長はたいてい驚きます。
「借金は減らすものだと思っていた」と。
【社長に刺さる伝え方】
「社長、御社のBSを3つの数字で見ると、
現預金が総資産の5%、借入金が80%、純資産が5%です。
8つの財務ポジションでいうと、
借入に依存しながら手元資金も不足している状態です。
まず目指すのは、現預金が借入金を上回る状態です。
そこに行くまでの道筋を、一緒に描きませんか」
ここまで言えると、
社長はあなたを「保険の担当者」ではなく
「財務の相談相手」として見始めます。
そして、この診断には必ず続きがあります。
③を目指す途中で社長に万が一があったら、
その道筋はどうなるのか。
財務ポジションの話は、
事業保障の話に自然につながっていきます。
【今日のポイント】
決算書を全部読む必要はありません。
現預金・借入金・純資産。この3つだけです。
社長は「うちは良いのか悪いのか」を知りたがっています。
8つのどこにいるかを示し、次にどこを目指すかを語る。
それができる人が、社長の隣に座ります。

コメント