【財務の武器 vol.7】BSの3つの数字で、社長の会社が「今どこにいるか」がわかる

前回、「PLだけでは会社の半分しか見えていない」

という話をしました。

そして最後に、BSで注目すべき数字は

3つだけだとお伝えしました。

 ① 現預金

 ② 借入金

 ③ 純資産

今回は、この3つをどう使うかの話です。

【決算書を見た瞬間に、一次診断ができる】

BSには、数十行の勘定科目が並んでいます。

全部読もうとすると、それだけで面談が終わります。

でも、現預金・借入金・純資産。

この3つの比率を見るだけで、

会社がどんな財務状態にあるかを、

その場で言い当てることができます。

やり方はこうです。

まず、総資産(=負債+純資産)を出す。

次に、総資産に対する3つの比率を計算する。

たとえば総資産1億円の会社で、

現預金500万円、借入金8,000万円、純資産500万円なら、

現預金5%、借入金80%、純資産5%。

この3つの数字の組み合わせで、

会社の居場所が決まります。

【会社は、8つのどこかにいる】

私は会社の財務状態を、8つに分類しています。

 ① 完全無借金(理想型)

 ② 実質無借金(優良型)

 ③ 実質無借金(バランス型)

 ④ 資金枯渇型(完全無借金)

 ⑤ 資金枯渇型(低借入)

 ⑥ 借入依存型(資金潤沢)

 ⑦ 借入依存型(資金不足)

 ⑧ 債務超過状態

先ほどの「現預金5%・借入金80%・純資産5%」の会社は、

⑦の借入依存型(資金不足)です。

借入に依存しながら、手元の現金も足りていない。

かなり危険な状態です。

ここで大事なのは、順位をつけることではありません。

今どこにいて、次にどこを目指すのかを

社長と共有することです。

【多くの社長が目指すべきは「③」】

①の完全無借金が理想ではありますが、

中小企業の現実的な目標は③です。

借入金と現預金と純資産がバランスよく保たれ、

手元の現預金が借入金を上回っている状態。

いわゆる「実質無借金」のスタート地点です。

意外に思われるかもしれませんが、

④や⑤のように無借金・低借入でも、

手元に現金がない会社は危ない。

この場合、私はむしろ

「借りて、現預金を厚くしましょう」

とお伝えします。

無借金であることが善なのではなく、

いざというときに払えることが善だからです。

この話をすると、社長はたいてい驚きます。

「借金は減らすものだと思っていた」と。

【社長に刺さる伝え方】

「社長、御社のBSを3つの数字で見ると、

 現預金が総資産の5%、借入金が80%、純資産が5%です。

 8つの財務ポジションでいうと、

 借入に依存しながら手元資金も不足している状態です。

 まず目指すのは、現預金が借入金を上回る状態です。

 そこに行くまでの道筋を、一緒に描きませんか」

ここまで言えると、

社長はあなたを「保険の担当者」ではなく

「財務の相談相手」として見始めます。

そして、この診断には必ず続きがあります。

③を目指す途中で社長に万が一があったら、

その道筋はどうなるのか。

財務ポジションの話は、

事業保障の話に自然につながっていきます。

【今日のポイント】

決算書を全部読む必要はありません。

現預金・借入金・純資産。この3つだけです。

社長は「うちは良いのか悪いのか」を知りたがっています。

8つのどこにいるかを示し、次にどこを目指すかを語る。

それができる人が、社長の隣に座ります。

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この記事を書いた人

公認会計士・税理士。EY新日本有限責任監査法人で会計監査に従事したのち、プルデンシャル生命保険でライフプランナーとして8年間、社長と向き合う営業の現場に立つ。2021年に独立し、中小企業の財務顧問として経営に関わる。現在は保険を販売する立場になく、「財務読み解き道場」を通じて、保険営業に携わる方が社長の前で財務を語れるようになるための型を伝えている。

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